水族館のススメ
(南知多ビーチランド)
ほんとうの意味で水族館に行く機会は、一生のうちに3回、というのが僕の持論です。
1回目は、初めて誰かに連れていってもらったとき。
両親やおじいちゃんおばあちゃんに連れられて。あるいはで遠足で。
僕ら陸上生物は水の中では生きられません。いうなれば水面は結界です。そこで、横の結界を縦に置き換えてみる――そのダイナミズムこそが水族館だと僕は考えます。
縦にしたことで、僕らは水中世界を擬似的に生きることができる。初めての水族館は、その神秘に触れる機会です。
2回目は、初めて自分の力で行ったとき。
お小遣いをためて、あるいはアルバイトをして、誰の力も借りず、自分で電車に乗ったり、車を運転して行ってみる。少し大人になった自分を実感するときです。
ちなみに、初めてのデートなら、映画館より水族館のほうがオススメです。映画館は話ができない。水族館なら多少ぎこちない関係でも間が持つ。動物園も悪くないんですが、雨の心配があるし、少々臭うので。
3回目は、初めて誰かを連れていったとき。
初めての水族館に目を輝かせてはしゃぐ我が子の姿は、かつての自分。そのころにはもう戻れないけれど、でもその感動は遺伝子レベルで受けつがれていくのです。