ありふれた幸せ
(2004 ケニア/アンボセリ国立公園)
「まるでハイエナのように――」という比喩は、たいてい悪い意味でつかわれます。なぜ悪役のイメージが定着してしまったんでしょうね。
エサを横取りするのはハイエナに限らないし、考えてみれば特に悪いことはしないのです。気味の悪い鳴き声のせいか、それとも劇団四季のせいか。
ちなみに、ケニアのほうではハイエナよりリカオンのほうが評判が悪いようです。あるガイドさんによれば、「ライオンやハイエナは狩った獲物を殺してから食べる。リカオンは獲物がまだ生きているうちに食べ始める。だから悪いやつだ」とのこと。
この家族を見たことで、僕もハイエナのイメージが変わりました。
そこにいたのは、サバンナの掃除屋でも、強靱なあごを持つ猛獣でもなく、ただの子煩悩な親と無垢な子どもたちでした。
ありふれた団らんの時間でした。