遠い対岸
(2012 ケニア/マサイマラ動物保護区)
マサイマラの一大スペクタクルといえば、マラ川をわたるヌーやシマウマの大群。
タンザニアからマサイマラへの大移動は、以前は7月下旬から8月上旬にかけてだったのですが、気象変動の影響か、最近は8月中・下旬にずれこんできました。お盆休みしか動けない僕らとしてはありがたいことです。
川幅じたいはたいしたことはありません。広いところでも10mほど。せまいところならほんの数メートル、しかも浅いので、泳ぐというより飛び跳ねてわたる感じです。しかし、彼らにとってはやはり命がけ。
半年ぶりのえさにありつこうとワニが集まってくる。対岸でライオンやハイエナが待ち受けている場合もある。
危険はそれだけじゃありません。
崖を飛び降りるときに失敗して足を折るもの。上から無数に降ってくる仲間の下敷きになって動けなくなるもの。ふつうにおぼれるもの――。
ずっと下流にある、タンザニア・ケニア国境の休憩エリアに立ちよりました。そこには、たくさんのハゲワシが集まっていました。
新天地を目と鼻の先にしながら運に恵まれなかったものは、ゆるゆるとマラ川を流れ、死骸となってようやく対岸にたどりついたのでした。