これも愛
(2012 ケニア/マサイマラ動物保護区)
5匹の赤ちゃんをつれたチーターの母子を見つけました。
ずっとチーターの赤ちゃんを見たがっていたカミさんは、4度目のケニアでようやくその夢をかなえたのでした。
その2日後、ふたたびこの母子に出会ったとき、赤ちゃんは4匹になっていました。
なにがあったのでしょう。
ライオンかハイエナにでも襲われたのでしょうか。その可能性もありますが、それなら、もっとごっそり減っていてもおかしくない。
これはおそらく、母親に置き去りにされてしまったのです。
生存競争は、すでに兄弟姉妹間で始まっています。うまく乳にありつけない子はどんどん体力がおちていく。体も大きくならない。移動のスピードについていけなくなる。
こういう場合、母親はその子を置き去りにすることがあるのだそうです。そうしないと、自分や他の子どもたちまで危険にさらすことになるからだ、と考えられています。
自然はきびしい――という表現は、僕は好きではありません。
これだって、愛のかたちのひとつです。
自然がきびしいのではなく、僕らがぬるいだけです。